岡山空港20周年 活用戦略考え直す機会に
岡山市日応寺の岡山空港が十一日、開港二十周年を迎えた。八、九の両日、空港では記念式典や記念祭が行われた。二日間で計約一万五千人が訪れ、空港の二十歳を祝った。
開港時の二千メートル滑走路は一九九三年、二千五百メートルに延び、二〇〇一年には三千メートルになった。空路も当初の東京、鹿児島、那覇の三路線が今ではソウル、上海線などを含む八路線に増えた。四月には香港線が加わり九路線になる。
ドル箱の東京便は開港時の一日二往復が今は九往復となった。〇六年度の空港利用者は百六十万人を超え、開港時の五倍近くまで膨らんだ。この二十年間、岡山空港はまずまず順調に歩んできたといっていいだろう。
とはいえ、さらなる発展の余地はある。毎年度の空港利用者数を見ると、ここ数年は頭打ちの状態が続く。西日本各地で空港の整備が進み、地方空港間の競争が激しさを増している。瀬戸大橋など整った高速交通網の結節点に位置し、広大な無料駐車場を持つといった強みをもっとPRしていく必要があろう。
三千メートル滑走路なら飛行機が燃料をより多く積め、米国西海岸や欧州へ直行便を飛ばせるようになるといわれた。しかし、十分な需要が見込めないことから定期路線開設の望みは薄い。代わって関係者は外国人観光客の増加に期待を寄せる。特に、発展著しい中国などアジアからの集客を狙っている。
国際航空貨物も三千メートル滑走路を有効活用する道筋の一つだが、統計を見ると年度によって取扱量のばらつきが大きい。定期旅客便の空きスペースを使って貨物を運ぶ現行方式では致し方ない面がある。年に一度、フランス産ワイン「ボジョレ・ヌーボー」が貨物専用便で届く時に話題にはなっても、現段階では成田空港や関西空港の補完的立場を抜け出せないでいる。
岡山空港の二十年間を振り返ると、欧州や米国へ定期便が飛び交う西日本の空の玄関という当初の発展イメージとは様相が異なっている。違いは、空港を取り巻く状況の変化の反映でもあろう。
二十年の間に経済はグローバル化し、中国や東南アジア各国、ロシアなど新興国が急速な発展を果たした。岡山が中国などからの観光客を狙うといっても、アジアへの玄関口としては福岡空港などの方が先行している。
二十年を機に、以前のような欧米重視ではなくより柔軟な発想で、岡山空港の活用戦略を考え直していきたい。今後の世界経済の一層の拡大発展を視野に他地域を抜き返す意気込みが求められる。
出典:山陽新聞