日本最古「三毛門かぼちゃ」加工品で復活へ/福岡・豊前市
福岡県豊前市三毛門地区に古くから伝わる「三毛門かぼちゃ」の加工品開発が広がりを見せている。生産者30人が今年5月に「三毛門かぼちゃ保存会」を結成。JA福岡豊築と連携し、今月中には新たにワイン仕立ての酒をデビューさせる。メンバーは「新しい特産品として地域興しにつなげたい」と意気込んでいる。
「三毛門かぼちゃ」は430年ほど前、南蛮貿易を通じポルトガル人が伝えたとされる。保存会によると日本最古のカボチャで、昭和天皇即位の際には同地区の特産品として献上したこともある。地元では、戦後の食料難に命をつないだ貴重な食材として思い入れが強い。特に郷土食の団子汁には欠かせない食材だ。ただ、煮物など一般的な食べ方には向かないため西洋カボチャに押され、最近は自家用に栽培される程度。保存会が把握する面積は40アールにとどまっている。
保存会は「地域の伝統を次代に残したい」と、甘みと水分が多い「三毛門かぼちゃ」の特徴を生かした加工品の開発に着手。保存会結成に前後し、菓子などを誕生させてきた。さらにJAの提案で酒造りにも挑戦。八女郡のワインメーカーに試験的に依頼し、辛口、甘口の2種類のワイン風の酒に仕上がった。
10月の試飲会で好評を得たことから、急きょJAの協力で530キロを確保。一般販売用に醸造を依頼し、12月中に1000本程度の販売を予定する。保存会会長の宮崎求馬さん(76)は「来年は面積を増やし、ぜひ特産品にしたい」と意気込む。
出典:日本農業新聞