2008年1月31日木曜日

新酒米「富の香」 高級酒向け県が開発

新酒米「富の香」 高級酒向け県が開発

「まろやかで豊潤」と評判

 県が開発した酒造用米の新品種「富の香」(25日、県庁で) 県は、県内の気候に育成が適した酒米の新品種「富(とみ)の香(かおり)」(富山酒69号)を開発した。大吟醸など高級酒向けに2009年度以降、本格的に栽培を進める。県農産食品課は「富山ならではの高級酒を全国に売り出したい」と話している。

 新品種は、高級酒用の品種として知られる兵庫県の「山田錦」と、県が開発した「雄山錦」を交配させ、1996年から県農業試験場で育成を開始。収量が多く、山田錦に比べて穂が実る時期が早い系統「富山酒69号」を選び、日本酒も実際に試作した。

 山田錦は主に西日本で栽培され、県内の酒米の作付け面積で約9割を占める「五百万石」と比べ、1俵(60キロ)当たりの価格が8000~9000円程度高い。収穫時期が1か月ほど遅いため、比較的気温が低い県内で栽培した場合、生育が悪くなるという問題があった。

 「富の香」は、こうした問題点を改良。山田錦より、1週間程度収穫が早く、収量も1アール当たり49・6キロと7キロほど多い。酒造に適した、でんぷんの密度が低いために白く見える「心白」という部分が多いのも特長だ。

 また、県内の酒造会社が試験的に醸造し、昨年11月、県酒造組合が実施した利き酒では、「山田錦」と「雄山錦」合わせて39票に対し、新品種が57票を獲得。味覚の面で、「まろやかさがある」「香りが豊潤」などと評価された。

 新品種は23日に農林水産省などに「富の香」の名称で品種・商標登録が申請された。08年度は県内農家で実験的に8ヘクタールほど栽培する予定だ。

出典:読売新聞