2008年1月13日日曜日

安いワイン向け畑を「減反」 EU、余剰対策で合意

安いワイン向け畑を「減反」 EU、余剰対策で合意

 欧州でワインの造りすぎが問題になっていることについて、欧州連合(EU)は19日の農相理事会で、安いワイン用ブドウ畑の「減反」による生産削減に合意した。一方、競争力がある高級ワイン用ブドウについては作付けを自由化する。フランスなど伝統的ワイン生産国の反対が強く、当初案より緩やかな内容で決着した。

 合意によると、日常ワイン用のブドウ畑を今後3年間で計17万5000ヘクタール「減反」し、応じた生産者に奨励金を支払う。EUの行政機関である欧州委員会は当初、計40万ヘクタールの削減を提案したが、加盟国の反対にあって譲歩を重ね、17万5000ヘクタールで決着した。

 一方、高級ワイン用ブドウについては、現在の作付け制限を原則として15年末までに撤廃する。仏など希望する国は18年末まで延長できる。

 欧州委は13年末の撤廃を主張したが、「ブルゴーニュ」「ボルドー」など有名ブランドを抱える仏が反対した。小規模生産者も多く、自由化すれば個性的なワインが打撃を受けかねないとの懸念が強かった。

 仏やイタリアなどは、有名ブランドを守るため、産地やブドウ品種、生産方法を法律で厳密に定めている。こうした規定は今回の合意が実行されても変わらない。

 EUは全世界のワイン生産の6割を占めるが、域内消費は減っている。一方で米国やオーストラリア、南米の安いワインの輸入が増え、ワイン余りが深刻化している。

出典:朝日新聞