2008年6月22日日曜日

生きた化石ホソエガサ確認 県内で47年ぶり

 西海パールシーセンター(佐世保市)が南九十九島沿岸で今月実施した海藻調査で、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧(きぐ)種に指定されているホソエガサを初めて確認した。本県で確認されたのは一九六一年に長崎市野母崎地区で見つかって以来四十七年ぶりという。

 カサノリの仲間で全長三センチほど。波が穏やかな砂地で貝殻の上などに生える。細長い茎と、カップ状の傘の愛らしい姿にちなみ英名は「マーメイド(人魚の)ワイングラス」。数億年前には広く分布していたことから「生きた化石」とも呼ばれている。

 同センター九十九島調査室の野添裕一さん(24)によると、かつては富山湾を北限に広く分布していたが一九六〇年ごろには見られなくなった。貝殻が土砂などに覆われると生育できず、近年の沿岸域の開発などで生育場所が減少している。調査では干潟など二カ所でカキ殻などに付着しているのを発見した。

 野添さんは「非常に貴重な種が脈々と生き続けるのは九十九島の沿岸環境が良好であることを示している。絶滅させないよう保全したい」と話している。

出典:長崎新聞