2008年5月10日土曜日

「激辛」「自作キット」開発…辛子明太生き残り作戦

 辛子明太子の売り上げが伸び悩み、メーカーが危機感を強めている。中元や歳暮の習慣が薄れつつある中で大手5社の売り上げが3年で計70億円減少、原料や原油の高騰も追い打ちに。各社は、伝統の味へのこだわりから脱却した新商品や、自宅で明太子を作る「キット」を売り出してヒットさせるなど生き残りに躍起。若者がなかなか手を伸ばしてくれない現状を打開しようと、子供向けの学習教材を作って全国の小学校に寄贈し、明太子の魅力をPRする業者も現れた。

 約60年前に国内で初めて製造販売を始めた福岡市の「ふくや」は、メキシコ原産の激辛唐辛子のハバネロを使った「スパイシー明太子」を昨年9月に発売した。舌がピリピリしびれる辛さ。同社の購買層の大半は40歳代以上だが、20歳代の社員がワインやパンに合う新製品として開発した。川原正孝社長(58)は「同業者から『老舗が伝統の味から外れた商品を作っていいのか』と言われた」と明かすが、売れ行きは好調。今年4月に第2弾の黒こしょう入りを売り出した。

 「やまやコミュニケーションズ」(福岡市)は3月、学習教材会社と提携し、漫画本「明太子のひみつ」を作り、全国の小学校と公立図書館に2万6500部を贈った。明太子のルーツや製造工程、明太パスタ、ピザなどの作り方をクイズを織り交ぜ紹介。同社は「20年後に明太子が残っているか不安。将来の購買層に訴えたい」と期待する。

出典:読売新聞