道立食品加工研究センター(食加研)などが、ワインの酸味を和らげる「マロラクティック発酵(MLF)」効果を起こす乳酸菌のうち、耐寒性の高い株の選抜に成功した。気温の低い道内でもMLFを導きやすくなるため、関係者の期待は高まっている。
MLFは、ブドウのアルコール発酵後に起こる。MLFを起こす温度は一五-二〇度が望ましいが、醸造時期の道内は晩秋を迎えているため、ワイナリーは光熱費をかけてワインの温度を上げたり、自然発酵を待ったりで、工夫を余儀なくされてきた。
冷涼な道内でもMLFを導きやすくするため、食加研と池田町ブドウ・ブドウ酒研究所、富良野市ぶどう果樹研究所が共同研究に着手。
道産ワインから六百五十弱の乳酸菌株を収集し、耐寒性試験などを経て、最も良好な結果を得た一株を今年初めに選抜し、「TOKACHI‐IKEDA‐02」と命名した。
食加研などによると、酸味を左右するリンゴ酸の含有量にかかわらず、「02」をワインに添加すると、ほぼ二週間以内にMLFが終了し、ワインの酸味が和らぎ、飲みやすくなったという。
「02」と、その使用ノウハウは特許出願中。食加研の橋渡携(はしどたずさ)主査は「多くのワイナリーに活用してもらいたい」として、大量培養技術の確立などに取り組み、二、三年内の実用化を目指す考えだ。
出典:北海道新聞