コーニング、高級ガラス器のスチューベン売却へ
米国で唯一の高級鉛ガラス器メーカー、スチューベン・グラスを所有するコーニングは11日までに、赤字が続く同部門の売却を決めた。買い手を募り、年内の処分を目指す。
AP通信によると、1903年に英国生まれのガラス作家フレデリック・カーダー氏が始めたスチューベンは、コーニングが18年に買収し、大恐慌時代以後は透明でずっしりと重いクリスタル(高級鉛ガラス器)製品が高く評価されてきたが、業績は長年赤字が続き、過去5年間の損失は3000万ドル以上となっている。現在社員は150人、年間売り上げは約2500万ドル。
コーニングのジェイムズ・フロウズ最高財務責任者(CFO)はこのほど、「売却は難しい決断であり、数年にわたって検討した結果。売却の期限はないが、年内に新しい所有者と合意に達することを望んでいる。買い手が見つからない場合は、事業や工場の閉鎖も含めた別の方法を検討する」と語った。
創業者のカーダー氏は、色彩豊かな装飾ガラスで名を高め、ガラス工芸ではティファニー、ラリックらと並び称された。コーニング傘下に入ってからのスチューベンは、流行の変化とともに無色透明のガラス器で有名になった。1つひとつが手作りのスチューベン製品は芸術的価値が高く、ワイングラス1つでも最低120ドルはする。
特殊ガラス・セラミック製造のコーニングにとって、クリスタル事業は利益よりも所有することに価値があったが、クリスタル売り上げは減り続け、07年のスチューベン部門は570万ドルの損失を計上した。
出典:USFL.COM