深澤直人によるジュエリー、「Koo-fu」プロジェクト
日本の優れたワイン産地として、ここ数年世界的にも注目されている山梨県・甲府市。この地が、かつて水晶の産地としてその名を馳せ、いまもなお日本が誇るべき“ジュエリーの街”であることをご存知だろうか?
この産地ブランド活性のために、山梨県水晶宝飾連合会が立ち上げたジュエリーブランド「Koo-fu(クーフー)」では、昨夏よりデザインアドバイザーに地元、山梨県出身の世界的プロダクトデザイナーの深澤直人を招聘。今回初のコレクションとなる『KOO FU COLLECTION 2008』を2月25日に発表した。
同コレクションで発表されたジュエリーは全部で計28点。すべては、昨年8月に深澤氏を招いて開設された「Koo-fuデザイン室」のワークショップに参加したデザイナー15名と技術者4名の手により誕生したものだ。
7回にわたって開催されたワークショップでは、深澤氏がジュエリーデザイナーとは異なる視点や立場から、モノをつくり出す方法やアイデアの発送などについてアドバイスを重ねた。
同ワークショップで深澤氏が提案したテーマはふたつ。1)ユニークな加工法を用いること。2)産地の特製を活かした、主張のある明解なアイコンが表現されること。なかでも(2)においては、“主張のあるデザイン”を如何に一般に訴求するかという課題について話し合われたという。
また、同プロジェクトから開発されたふたつの新素材、従来のプラチナよりも硬く、キズがつきにくく、メッキなしでも白く輝くオリジナルプラチナ合金「Koo Fu Pt950」と、割り金を含むすべての金属が貴金属で構成された世界に類をみないホワイトゴールド「Koo Fu K18WG」の存在も大きい。
今回発表された28のジュエリーは、そのいずれかの新素材と、「Koo Fu INGTALIO(クーフーインタリオ※)をはじめとする、山梨の伝統的な宝石研磨や彫刻の高度な加工技術が成せる高度な加工法を駆使したものだ。オリジナリティあふれるデザインとその見事な仕上がりは、既に会場で多くの来場者の目を釘付けにしていた。
※「インタリオ」とは、凹型に掘られたもの。“沈み彫り”の総称。ジュエリーの素材となる貴金属や宝石などに施す加工技術のこと
「勝沼から甲府に向かう高台の風景は、イタリアが誇る宝飾の街・フィレンツェのそれによく似ている。そんなことを想いながら、山梨の風土と土壌、その自然の成り立ちの素晴らしさを改めて感じた。ここには、世界に類をみない素材と技術があり、高いスキルをもったデザイナーたちも揃っている。そこに新たな発想力やデザイン力さえ加われば、海外の高級宝飾品でさえ実現でいない作品を生み出すことができるはず」
生まれ育った土地への敬意を込めながら語った深澤氏の言葉には、今回のワークショップでの大きな手応えを実感させる。今後、「Koo-fu」プロジェクトは3ヵ年の長期的な計画のもと、2010年春までには、海外でのマーケットも見込んだ展開も図る予定だ。
出典:ウーマンエキサイト・Garboコンシェルジュ