2008年1月19日土曜日

高価なワインはおいしく感じる? 米研究

高価なワインはおいしく感じる? 米研究

同じワインでも、値段が高いと聞いてから飲むと、より高級な味がする。多くの人にとって覚えのあるこんな体験を、米カリフォルニア工科大の研究チームが検証した。事前に知らされた値段によって、脳の反応に違いが出ることが明らかになったという。

消費者は一般に、「高価なものは質も高いはず」と考えることが多い。チームでは、この考え方がどのような影響を及ぼすかを調べるため、ワインを使ったテストを実施し、成果を米科学アカデミー紀要に報告した。

参加者20人に、用意した5杯のワインを飲み比べてもらい、機能的MRIと呼ばれる装置で脳の活動を観察する。ただし、実際に使ったワインは3種類。90ドルで売られているワインに実際の値段と「10ドル」の表示、5ドルのワインには実際の値段と「45ドル」の表示をそれぞれ付け、別の種類として並べた。

その結果、脳の中で「おいしさ」などの快感に反応する部分は、実際の値段にかかわらず、高価とされるワインを飲んだ時ほど活性化することが分かったという。研究を率いたアントニオ・ランゲル氏は、「脳は快感を認識する際、実際の感覚のほかに事前の期待感なども計算に入れて、複雑な処理を行っているということだ」と説明する。

一方、あらかじめ値段を知らされずに試飲するテストでは、最も安い5ドルのワインに「一番おいしい」との評価が集まった。ランゲル氏は、「この結果には驚いた。5ドルのワインは味が濃かったことや、参加者があまりワインを飲み慣れていなかったことなどが、要因として考えられる。プロに試飲してもらえば違う結果が出るだろうし、そう信じたい」と話している。

チームでは今後、痛みなどの不快感についても同様の研究を進める方針だ。参加者に軽い電気ショックを与え、事前に強い苦痛を予告した場合とそうでない場合の脳の活動を比較する実験を検討しているという。

出典:CNN Japan