2008年2月22日金曜日

肉汁たっぷり 厳選地鶏

肉汁たっぷり 厳選地鶏

 炭火にあぶられ、鶏肉からしたたる脂。串(くし)を返すたびに、ぽたりと落ち、ジュッという音とともに白い煙と芳しい香りが立ち上る。無駄のない指先の動きに見とれているうちに、次々と焼き上がった。

 「火を通しすぎると肉の持ち味を損なうから」と、大将の岡村浩之さん(39)。備長炭の強火で手早く焼くのが特徴だ。香りに食欲を誘われてかみしめると、想像以上の柔らかさ。内側はみずみずしい薄桃色で肉汁がたっぷり。表面のカリッとした食感との対比も心地よい。

 持論は「生の肉が一番うまい」。それだけに新鮮な食材にこだわり、毎日、宮崎県と鹿児島県から地鶏を取り寄せる。仕入れ先は、現地を訪れて決めたという。「大地を駆け回って育った地鶏は身が引き締まって、臭みがない」と胸を張る。

 一押しは「ももの炙(あぶ)り刺し」(八百円)。薬味の「ゆずこしょうおろし」を添える。風味のある辛さが肉のうま味を際立たせる。

 炭火焼きにぴったりの日本酒も用意する。醸造所に特別に作らせた純米吟醸「ちきら」。ワインのような風味だが古酒に似たまろやかさもある。口に残った脂がスッと流れ、次の串の焼き上がりが心待ちになる。まさに厳選。納得の味だ。

出典:中国新聞