2008年1月13日日曜日

「新世界」に対抗 EUが「ワイン改革」に挑戦

「新世界」に対抗 EUが「ワイン改革」に挑戦

 欧州連合(EU)は来年8月から、欧州産ワインの競争力を高めるため「ワイン改革」を実施する。ブドウ畑の減反や補助金を削減することが柱で、世界的に需要が高まる米国やオーストラリア、チリ産などの「新世界ワイン」に対抗する。

 フランスのマルゴー、イタリアのキャンティなどの名品を生み出す欧州のワインの生産量は全世界の6割を占める。しかし、欧州産ワインは過去10年間、他国のワインの猛追を受けて輸出に陰りが出る一方、欧州域内にも「新世界ワイン」が徐々に浸透、業界内に危機感が広まっていた。

 欧州産ワインは2010年までに約15%の余剰が出るほどで、不要な「ワインの湖」(専門家)はいずれ処分される運命となっていた。このためEUは今後3年間で、約17万5000ヘクタールの減反を決めた。

 EUは、ワイン生産農家が自由にブドウの品種を栽培できる自由化解禁の時期についても、当初の13年から18年に遅らせ、この間に競争力を付けさせることにした。混乱を招いてきた複雑なラベル記載も簡素化する。

 これまで、生産過剰となったワインを工業用アルコールに転用するために出してきた補助金も削減し、世界的に知られる中・高級ワインの販売促進やブドウ畑の施設近代化のために振り替える。

 ワイン改革実施をめぐっては、「(ワイン生産が)各国の文化、感情にかかわる繊細な問題」(ボエル欧州委員)だけに各国の抵抗が強かったが、ワイン王国がひしめくEUはようやく一致団結して“新興ワイン”を迎え撃つ態勢を整えたかたちだ。

出典:MSN産経ニュース