2008年1月29日火曜日

甲州のワイン 英へ仏へ出荷 国産初のEU認定

甲州のワイン 英へ仏へ出荷 国産初のEU認定

 県産ワインが「ワインの本場」で腕試し――。国産ワインとして初めて欧州連合(EU)の認定を受けた甲州種ワインが28日、英国ロンドンに向け、出荷された。来月には、別の県産ワインが本場フランスへ渡る。業界関係者は、「人気の和食に合うのは白の甲州種ワイン」と欧州に売り込み、需要を掘り起こしたい考えだ。

 県産ワインはこれまでも、和風レストランがある米国やアジアの主要都市に販路を広げてきた。だが、欧州に一定数量を輸出するためには、ブドウなど成分について指定機関の証明を受ける必要があった。業界の要請を受けた独立行政法人酒類総合研究所(旧醸造試験所)が昨年、EUから国内唯一の検査機関として指定され、本格進出することが可能になった。

 今回、ロンドンに進出するワイン「シゼン キュヴェ・ドゥニ・デュブルデュー」(750ミリリットル)は、外国産ワインの輸入商社ミレジム(東京)が開発した06年もの。同社はこれまでも、県産ワインを米国に輸出してきた実績がある。

 同社は、ワイン醸造の権威として知られる仏ボルドー大教授の指導を受け、甲州市勝沼町の「中央葡萄酒」で醸造に着手した。韮崎市穂坂町内で生産された甲州ブドウを原料に使った。酒類総研が昨年末、EU向けのワインの輸出証明書を発行した。

 空輸する数量は480本。すべてロンドンのレストランに卸す。国内向けには「甲州」の名前で販売されている。甲府市の酒販店「ワインズ新富屋」では2100円で手に入る。店主の中山秀人さんは「アルコール度数は低いが、香りがいいのが特徴」と話す。

 続いてフランスに出荷するのは、フランスのワイナリーと組んだ「勝沼醸造」(甲州市)が製造元の甲州ワイン。国内向け商品名は「イセハラ」で、2月に1500本を送り込む。勝沼醸造の営業担当者は「輸出を成功させ、国内の営業の起爆剤にもしたい」と意気込んでいる。

出典:朝日新聞